概要
- 最近トランプ大統領の政治的掌握力が弱まり、共和党内で反発が増えているとの分析が出ている。
- トランプ政権の関税政策が司法府から脅かされており、IEEPAで敗訴した場合、関税の返還負担が予想されると伝えた。
- トランプ大統領は民意を意識して政策の方向を変えているが、根本的に共和党が彼に依存する構造は維持されていると述べた。

ドナルド・トランプ米大統領の勢いは明らかに衰えた。1月20日の就任後約9か月にわたりトランプ大統領は米国の立法府はもちろん、司法府にまで影響を及ぼし事実上無制限の権力を振るってきた。上院と下院で優位に立つ共和党はトランプ大統領のゴム印という批判を受けつつもトランプ大統領の無理な要求さえもすべて受け入れてきた。
しかし今月に入って風向きが変わった。共和党内でトランプ大統領と距離を置く声が増えた。司法府も関税政策を覆す判決を下す可能性が高まった。支持率は38~39%の水準に急落した。トランプ大統領は焦りの色を見せている。
○揺らぐブルドーザー
22日(現地時間)の米政界では急速に「レイムダック」という用語の使用が広まっている。始まりは政治メディアのポリティコが4日に行われた州知事などの選挙で共和党が敗北した結果を分析し「トランプ大統領のレイムダックが始まった」と言及したときだった。
事態が一気に動いたのはジェフリー・エプスタインのファイル公開問題が浮上してからだ。トランプ大統領がしぶしぶ公開法案に賛成票を投じろと言うほど党内の世論は沸騰していた。その後、議員たちはもちろん主要メディアも公然とトランプ大統領の掌握力が明らかに低下したと述べ、レイムダックを口にしている。J.D.ヴァンス副大統領が共和党議員に党内の対立に触れながら「我々は異なる点よりも共通点の方が多いことを思い出せ」と訴えなければならないほどだ。
ザ・アトランティックはトランプ大統領が前例のない行政権を利用して議会を従わせ、裁判所を無視するなど「ブルドーザー」のように政策を押し進めたが、「10か月目に入った今、トランプ2.0は初期の混乱した姿に戻り始めた」と評した。
共和党員の最大の関心事は中間選挙だ。来年に上院35議席、下院435議席(全議席)を改めて選ぶこの選挙で共和党が押される可能性が取り沙汰される中、党内では本格的にトランプ大統領の政策と距離を置くべきだという声が高まっている。CNNは「共和党員はトランプの対外政策への偏重、家計負担への理解不足、彼の家族が富を蓄えているかのような姿に不満を訴えている」とし「今後レイムダックという言葉をより頻繁に聞くことになるだろう」と指摘した。
エプスタイン・ファイルの公開要求問題でトランプ大統領と対立したマージョリー・テイラー・グリーン共和党下院議員が辞任を発表したことも共和党の危機感を一層あおっている。彼女が辞任すれば共和党は下院で218議席となり、民主党(213議席)との差は5議席に縮まる。共和党議員のうちわずか3人が反旗を翻せば民主党が採決で勝てる。すでにトーマス・マッシー議員(共和・ケンタッキー)らが公然とトランプ大統領に反旗を翻したことを考えれば、共和党の多数派としての地位は非常に不安定だ。
○関税政策の決定打
これまでトランプ政権の各種政策に免罪符を与えてきた司法府の機運も変わった。何よりトランプ経済の核心である関税政策が最高裁で揺らぐ可能性がある。最高裁は保守6対進歩3で構成されているが、保守派判事のうち少なくとも2人は大統領が権限を無制限に行使して導入した相互関税などに否定的だ。ブルームバーグ通信はこの日、ホワイトハウスが既存の相互関税の根拠法である国際緊急経済権限法(IEEPA)に代わる別の法律を検討し始めたと報じた。
トランプ政権は、貿易拡大法232条(品目関税の根拠法)を活用するか、通商法301条や122条(150日間、最高15%の関税を課すことが可能)、関税法338条を利用して米国産が差別された国に対して最高50%の関税を課す案などを検討しているとされる。しかしいずれも但し書きや使用範囲の制限があり、IEEPAと完全に同等の効果を出すのは難しい。さらにIEEPAで敗訴した場合、既存の関税を返還しなければならないことも大きな負担だ。
物価も足を引っ張っている。NPR・PBS・マリストが10〜13日に米国成人1443人を対象に実施した世論調査(誤差範囲 ±3.0%ポイント)の結果、57%は物価を下げることをトランプ政権の優先課題だと指摘した。連邦政府のシャットダウン(臨時業務停止)の過程でオバマケア(全国民医療保険の義務化)の税額控除を廃止するというトランプ政権の方針への国民の注目度が高まったことも負担になっている。
○民意に沿って政策を変える
トランプ大統領はコーヒーとバナナに対する関税を撤廃し、関税配当金名目で1人当たり2000ドルを支払うと約束するなど民意を意識して政策を調整している。以前から彼は『TACO(トランプはいつも退く)』というあざけりを受けていたが、その時は交渉後に一歩退くことが多かったのに、今は政策的ビジョンに合わない決定が相次いでいる。
21日にジョラン・マムダニ・ニューヨーク市長をホワイトハウスに呼んで温かい姿を演出したのは単に大衆の支持をより得るための“ジグザグ”の行動に過ぎない。1人当たり2000ドルの配当支払いも関税収入で米国の財政問題を解決するとする公約と矛盾している。
思いどおりにいかないことが増えるにつれ苛立ちを見せることも増えた。先にエプスタイン・ファイルに関する質問をした女性記者を「豚」と非難したのは、普段から暴言の多いトランプ大統領としても異例だった。スコット・ベサント財務長官に対して、米連邦準備制度(Fed)の固有権限である基準金利を下げられないなら解雇すると脅したのも同様の事例だ。
しかし共和党がトランプという代替案から離れられない以上、根本的に陣営が完全に崩れると見るのはまだ早いという評価も多い。ポリティコは「トランプ大統領は依然として代えのきかない存在」であり「選挙勝利のために彼に依存せざるを得ない議員が多い」と説明した。
ワシントン=イ・サンウン特派員 selee@hankyung.com

Korea Economic Daily
hankyung@bloomingbit.ioThe Korea Economic Daily Global is a digital media where latest news on Korean companies, industries, and financial markets.



