トランプは弱いドル、ベセントは強いドル…ぶれるドル政策

ソース
Korea Economic Daily

概要

  • トランプ大統領はドル安を「素晴らしい」と評価し、製造業の復活輸出増加のため弱いドルを好んできたと述べた。
  • ベセント財務長官は為替市場への介入の可能性を否定し、米国は常に強いドル政策を堅持してきたと述べたが、市場はドル安トレンドが大きくは変わらないとみていると伝えた。
  • WSJは、元モルガン・スタンレーの通貨ストラテジスト、スティーブン・ジェン氏の見方として、今後ドルの価値20%追加下落する可能性があるとの予測を報じた。

トランプ発言から1日…ベセント「米国は強いドルを堅持」

ベセント、為替介入の可能性を否定

米製造業の復活を狙うトランプ

「弱いドルは素晴らしい」…財務省と足並み合わず

「ドルが20%追加下落する可能性」

スコット・ベセント米財務長官。Photo=Shutterstock
スコット・ベセント米財務長官。Photo=Shutterstock

ドナルド・トランプ米大統領がドル安について「素晴らしい」と述べた翌日、スコット・ベセント財務長官は「米国は常に強いドル政策を堅持してきた」と語った。トランプ大統領の発言を受けてドルの価値が4年ぶりの低水準に落ち込むと、ドルの価値を所管する財務長官が急ぎ鎮静化に乗り出した格好だ。大統領と財務長官の発言が食い違い、トランプ政権のドル政策が弱いドルなのか強いドルなのか不明確だとの指摘が出ている。

「円相場への介入はない」

ベセント長官は28日(現地時間)、CNBCのインタビューで「米国が為替市場に介入しているのか、あるいは円高にしているのか」との質問に「断じて違う」とし、「米国は常に強いドル政策を堅持してきた」と答えた。さらに「健全な政策を行えば米国に資金が流入し、貿易赤字が縮小し、長期的にはドル高につながる」と述べた。

市場では23日以降、米国と日本が円安を阻止するため共同で市場介入に踏み切るとの観測が広がっていたが、ベセント長官はこれを一蹴した。

この日のベセント長官の発言後、主要6通貨に対するドルの価値を示すドル指数は0.4%上昇し、前日に記録した下落幅(-1.2%)の一部を相殺した。ドル円相場は1ドル=154円台前半まで上昇(円安)し、ユーロの価値はドルに対して1%下落した。マニュライフ・インベストメント・マネジメントのシニア・グローバル・マクロ・アナリスト、エリカ・マリレリ氏はブルームバーグに対し、「ベセントの発言は市場の懸念を落ち着かせた」とし、「トランプ政権のドル政策への信認回復に役立った」と語った。

トランプ大統領は前日、「ドル安を懸念しているのか」との記者団の質問に「いいえ」と答え、現在のドルの状況について「素晴らしい」と述べた。市場は「大統領がドル安を歓迎している」というシグナルと受け止め、ドルの価値は急落した。トランプ大統領は以前から、製造業の復活と輸出増加のため弱いドルを好む発言をしばしば行ってきた。トランプ政権の関税政策の土台になったとされるスティーブン・マイラン米連邦準備制度理事会(Fed)理事の「マイラン報告書」も、米国の巨額の貿易赤字を解消する方法として弱いドルを提示した。

とりわけ11月の中間選挙を控え、トランプ大統領が中核支持層である「ラストベルト」の製造業労働者の支持率を引き上げるには、弱いドル基調を維持する必要があるとの分析もある。

弱いドルの流れは続きそうだ

ベセント長官が強いドル政策を堅持すると明言したのは、米国の伝統的なドル政策を再確認したものだ。ドル安が続けば、海外資金の米国流入が減る可能性がある。米国債を資産として保有する国や機関投資家が、ドル資産を増やすインセンティブが弱まるためだ。米財務省がドル高を支持する背景である。

ただし、ベセント長官の発言を政策目標と解釈するのは難しいとの指摘もある。ベセント長官がトランプ大統領の中核的な側近であることを踏まえると、大統領の意向に反して強いドル政策を押し進める可能性は低いからだ。日本経済新聞は「歴代の財務長官は基軸通貨を守るという意味で『強いドル』という表現を使ってきた」とし、「急激なドル安は望まないが、だからといって必ずしもドル高を志向するという意味ではない」と解釈した。

ベセント長官はこれまで、特定の国や地域が通貨価値を人為的に引き下げていないか監視すると強調してきた。JPモルガンの為替ストラテジスト、パット・ロック氏もブルームバーグに「ベセント長官の発言は、追加の口先介入や実際の介入の可能性まで排除するものではない」と述べた。

主要6通貨に対するドルの価値を示すドル指数は、ベセント長官発言直後の28日に上昇して取引を終えたが、29日に入ると再び下落した。市場は、ドル安の流れが大きく転換する可能性は低いとみている。グリーンランドをめぐる米欧の対立、Fedの独立性侵害をめぐる論争、関税の不確実性、政府財政赤字の拡大などが投資家の信認を損ない、ドル指数は昨年9.4%下落し、今年も2%程度の下落基調を続けている。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、元モルガン・スタンレーの通貨ストラテジストであるスティーブン・ジェン氏は、今後ドルの価値が20%さらに下落すると予想した。

ハンギョン記者 hankyung@hankyung.com

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