概要
- イエメンのフーシ派反政府武装組織がイスラエルにミサイル攻撃を実行し、参戦したと伝えた。
- 世界の海上原油輸送量の約12%が通過するバブ・エル・マンデブ海峡の封鎖可能性により、世界市場へのショックが拡大するとの見通しが出ていると明らかにした。
- フーシ派がバブ・エル・マンデブ海峡の海底ケーブル切断まで脅し、世界的な通信まひの可能性が取り沙汰されていると伝えた。
期間別予測トレンドレポート


親イランのフーシ派反政府武装組織が参戦
イスラエルにミサイル攻撃
バブ・エル・マンデブ海峡封鎖に動く見通し
世界の原油の12%が通過するエネルギー輸送路
「海底ケーブル切断」脅迫の可能性も

中東戦争が1カ月を迎えた28日(現地時間)、世界経済に大きな悪材料が噴出した。イエメンの「親イラン」勢力であるフーシ派反政府武装組織がイスラエルへのミサイル攻撃を開始し、戦闘に加わった。フーシ派が、ホルムズ海峡に匹敵する世界のエネルギー輸送の大動脈とされるバブ・エル・マンデブ海峡の封鎖に踏み切れば、世界市場への「ショック」が一段と強まるとの見方が出ている。
フーシ派、イスラエルにミサイル発射し参戦
28日付のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)などによると、イランの支援を受けるフーシ派は同日「イスラエルに対する弾道ミサイル攻撃を実行した」と発表した。フーシ派の報道官ヤヒヤ・サリーは声明で「イラン、レバノン、イラク、パレスチナの抵抗戦線への攻撃が停止されるまで作戦は続く」と述べた。
イスラエルは「イエメンから発射されたミサイルを探知し迎撃した」と明らかにした。現時点でフーシ派の攻撃による死傷者は確認されていない。NYTは「中東で激化する戦争に、もう一つの戦線が開かれた」と評価した。
2004年にイエメンで反乱…親イランの武装組織

フーシ派反政府武装組織は、イエメンのシーア派武装勢力だ。正式名称はアンサール・アッラー。シーア派の盟主を自任するイランと、同盟に近い緊密な関係を持つ。2004年、イエメン北部に住むシーア派信徒が、イエメン政府の腐敗と不平等に反発して反乱を起こした。フーシ派という名称は、当時の指導者ムハンマド・アル・フーシの名に由来するという説がある。
フーシ派は2014年、イエメンの首都サヌアを制圧し、事実上政府を転覆させた。イエメンは内戦状態に陥った。イエメン政府は国際社会の支援を受け、フーシ派と戦っている。
フーシ派は強固な勢力を維持している。フーシ派はイランから武器や資金の支援を受けているとされる。フーシ派は、イスラエルの空爆で死亡したイランの指導者アヤトラ・アリ・ハメネイの写真を公然と掲げている。
原油12%を運ぶ「バブ・エル・マンデブ海峡」封鎖の可能性
フーシ派の参戦が世界経済にショックを与えると見込まれているのは、「バブ・エル・マンデブ海峡」封鎖の可能性があるためだ。「涙の門」を意味するバブ・エル・マンデブ海峡は、紅海とアデン湾(インド洋)を結ぶ地政学的な要衝で、サウジの原油がアジアなどへ輸送されるルートでもある。最狭部の幅は32㎞で、39㎞のホルムズ海峡よりも狭い。

図の下部にある赤い丸の部分がバブ・エル・マンデブ海峡。フーシ派の参戦により、バブ・エル・マンデブ海峡を通じた原油輸送ルートも遮断される危機に直面した。
世界の貿易量の約10%、海上原油輸送量の約12%、そして相当量の液化天然ガス(LNG)が、バブ・エル・マンデブ海峡を通って世界各地へ向かう。主にサウジ産原油の輸送路として利用されてきた。スンニ派の盟主であるサウジがフーシ派の動きを注視し、ときに軍事介入する理由でもある。
こうした事情を熟知するフーシ派は、中東で紛争が起きるたびに随時バブ・エル・マンデブ海峡の封鎖に踏み切ってきた。2023年12月のイスラエルとシーア派急進組織ハマスの戦争で、フーシ派がバブ・エル・マンデブ海峡封鎖に動いたことが代表例とされる。紅海付近の船舶を攻撃し、拿捕を試みたことで、主要海運会社が紅海航路の運航を停止する事態にもつながった。
フーシ派の高官アベド・アルタウィルは14日、「イランを支援すると決めた場合、バブ・エル・マンデブ海峡の封鎖が最優先の選択肢の一つになる」としたうえで、「米国、占領地(イスラエル)に向かう商船、空母を含む軍艦を止める」と警告したこともある。
過去には「ビッグテックの海底光ファイバーケーブル切断」脅迫も
フーシ派が戦況次第で、極端な脅しに出る可能性も取り沙汰されている。2024年1月のイスラエル・ハマス戦争時には、アジアからバブ・エル・マンデブ海峡にかけて、世界通信の生命線である海底ケーブルが敷設されている。バブ・エル・マンデブ海峡には、グーグル、マイクロソフト、アマゾンといった米国のビッグテックが投資した主要な海底ケーブル16本が通過しているとされる。
フーシ派が地域の通信サービスのまひなどを狙って攻撃に踏み切れば、インターネット検索ができなくなるなど、大混乱が生じる可能性もある。2024年1月、真偽は正確に確認されていないものの、フーシ派指導部の間で「紅海の海底ケーブルを切断する」という発言が出たと伝えられた。当時、世界のSNSでは「西側を石器時代に戻せる」とフーシ派指導者が語ったという内容の投稿が急速に拡散した。
ファン・ジョンス記者 hjs@hankyung.com

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