概要
- サムスン電機やLGイノテックなど韓国部品メーカーが、世界のAI供給網の中核パートナーであり、「スーパー乙」として台頭した。
- FC-BGA、MLCCなど高性能部品の供給不足を受け、ビッグテックは生産ライン日程や工場稼働率をリアルタイムで確認し、物量確保に総力を挙げている。
- 工場のフル稼働とともに価格決定権も部品メーカー側に移りつつあり、イースペタシス、大徳電子、アモテックなどにもAIの波及効果が広がっている。
期間別予測トレンドレポート


半導体INSIGHT
韓国部品なければAIは止まる
電子部品メーカーも全盛期
サムスン電機、ブロードコムにAI基板供給
供給網を握るビッグテックの中核パートナーに

人工知能(AI)ブームを追い風に、メモリー半導体だけでなく韓国の電子部品メーカーも世界の素材・部品・装置供給網の中核に浮上した。サムスン電機、LGイノテックなどの主要企業は、AIのボトルネック解消を急ぐビッグテックの中核パートナーになっている。完成品メーカーの発注に依存してきた下請け構造を脱し、韓国企業が供給網の主導権を握る「部品メーカー優位」の時代に入った。
4月21日に業界関係者が明らかにしたところによると、サムスン電機は米ブロードコム(Broadcom)をAI半導体基板であるFC-BGA(フリップチップ・ボール・グリッド・アレイ)の新規顧客として確保した。エヌビディア、グーグル、アマゾン、アップルに続き、ブロードコムもサムスン電機の顧客に加わった。サムスン電機は2026年後半から、ブロードコムの最先端AIアクセラレーター向けに基板を供給する予定だ。
FC-BGAは半導体チップとメインボードをつなぎ、電気信号と電力を伝える中核部品だ。この基板を生産できる企業は、サムスン電機やLGイノテックのほか、日本のイビデン、新光電気工業など一部に限られる。
積層セラミックコンデンサー(MLCC)市場でも地殻変動が起きている。サムスン電機はエヌビディアをはじめとする世界の主要ビッグテックに、AIサーバー向けの超大容量MLCCを大量供給している。AIサーバーには一般サーバーに比べて3〜4倍以上のMLCCが使われる。しかも高温・高圧環境に耐える高難度の技術が必要で、単価は一般製品の3〜5倍以上に達する。サムスン電機を筆頭に、アモテックなど特化技術を持つ韓国企業に引き合いが集まる理由だ。
世界のAI供給網は、韓国の部品メーカー抜きでは維持できない構造へと再編されつつある。韓国企業がAIアクセラレーターの性能を左右するボトルネックを解消する独自技術を握っているためだ。
業界関係者は、韓国企業が高性能基板や素材分野で代替の利かない技術力を証明し、前例のない黄金期を迎えたと話した。
韓国部品メーカー、AIボトルネック解消の担い手に 海外ビッグテックが列
サムスン電機・LGイノテック、AIブームで「スーパー乙」に急浮上
「まずサムスン電機とLGイノテックの生産ライン日程を把握してこい」
最近、世界のビッグテックのハードウエア設計チームで日常化した言葉だ。積層セラミックコンデンサー(MLCC)やAI半導体基板のFC-BGAを手がけるこれら企業の生産日程を把握することが、重要業績評価指標(KPI)だといわれるほどだ。かつては完成品メーカーが部品メーカーに設計図を渡し、「納期と単価を合わせろ」と求めるのが一般的だった。だが状況は一変した。部品メーカーの微細工程の限界を把握しなければ、ビッグテックはAIアクセラレーターそのものを設計できなくなったためだ。米シリコンバレーのエンジニアが韓国の主要部品メーカー工場の近くに陣取り、部品メーカーの技術者と泊まり込みで設計を進めるのもこのためだ。
世界のAI供給網では、発注側と受注側の力関係が変わっている。韓国の部品メーカーは、注文通りに生産する下請け拠点から、AI性能の限界を決めるボトルネックの解消役へと変貌した。スマートフォン供給網を追い風に急成長した韓国の部品メーカーは、10年を経てAIブームのもとでビッグテックに対して強い交渉力を持つ「スーパー乙」の時代を開いた。
「部品メーカーの工程を知らなければ設計できない」
ビッグテックが韓国の部品メーカーに列をなすのは、AIサーバー向け部品の技術難度が臨界点に達したためだ。消費電力を抑え、発熱を制御する技術がAIサーバーの成否を左右するようになり、ビッグテックは設計段階から部品メーカーと頭を突き合わせるカスタム型の提携を結んでいる。
サムスン電機やLGイノテックがFC-BGAを設計する際、ビッグテックのエンジニアが初期段階から関与するのは、もはや選択ではなく必須になった。部品メーカーの製造能力に合わせて回路を描かなければ歩留まりを確保できず、製品投入そのものが頓挫しかねないからだ。サーバーメーカーがエヌビディアの画像処理半導体(GPU)を大量に確保していても、韓国企業の高性能MLCCや基板がなければデータセンターは完成せず、待機を強いられる。
こうした状況を受け、製造業のバイブルとされたジャスト・イン・タイム(JIT)も、AI時代には過去の発想になりつつある。在庫を最小化して効率を高めた時代とは異なり、いまは「まず確保する」という在庫競争が起きている。中核部品が1つ欠けただけでデータセンターの完成が6カ月以上遅れる事態を経験し、ビッグテックの調達戦略は180度変わった。
業界関係者は、サムスン電機の高性能MLCCとLGイノテックの基板は、もはや「欲しい時に手に入る部品」ではないと指摘する。ビッグテックは部品メーカーの工場稼働率をリアルタイムで確認しながら、物量確保に総力を挙げているという。
「2026年後半はフル稼働」 価格決定権も部品メーカー側に
主導権が部品メーカーに移るにつれ、価格決定権も移り始めている。世界の高性能MLCC市場を寡占する村田製作所が5月の値上げを予告し、サムスン電機も追随値上げの構えを整えた。
工場稼働率は90%を超えた。サムスン電機の張徳鉉社長は、2026年後半の基板生産ラインがフル稼働になるとして、増設を進める考えを示した。LGイノテックの文赫洙社長も3月に、2027年後半までに基板の生産能力を2倍に引き上げると明らかにした。
中堅・中小企業の存在感も高まっている。AIアクセラレーター向け高多層基板(MLB)市場を握るイースペタシスは、エヌビディアとグーグルの双方から引き合いを受けている。車載用基板に強い大徳電子や、米マーベル(Marvell)向けにデータセンター用MLCCの供給を始めたアモテックも、AIの波及効果を享受している。
AIサーバーから始まった韓国部品への熱気は、自動運転やロボット分野にも広がっている。自動運転車の目にあたる先進運転支援システム(ADAS)向けカメラモジュールや、ヒューマノイドロボット向けセンシングカメラを確保するため、テスラなどの自動車メーカーやロボット企業が韓国企業に列をなしている。業界関係者は、スマートフォン時代にメーカーの意向をうかがっていた部品メーカーが、いまや世界のビッグテックを相手に価格を提示する時代になったと語った。
キム・チェヨン/ウォン・ジョンファン/カン・ヘリョン記者

Korea Economic Daily
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