力を誇示したトランプ、イランと核協議…イランは「核施設に深刻な損害」

ウィトコフ「アブラハム合意の拡大がトランプの主要目標」

アメリカとイランは来週、核問題などについて協議する予定です。

スティーブン・ウィトコフ米中東特使は25日（現地時間）、CNBCのインタビューで「イランと包括的な平和合意を望んでいる」と述べました。ウィトコフ特使はイランがアラブ首長国連邦（UAE）のように独自のウラン濃縮プログラムを持たなくても、民間の原子力エネルギーを利用できると語りました。

また、前トランプ政権時代にUAE、バーレーンとの関係を正常化した「アブラハム合意」を拡大することが、トランプ大統領の主要目標の一つであると述べました。

ただし、この協議が核問題に関する明確な内容を含むかどうかはまだ不透明な部分があります。ドナルド・トランプ米大統領はNATO首脳会議の記者会見で、この会談についてすでに核施設を破壊したため、核協議が必要か疑問視していると述べました。

「核協定を締結することもできる。私はそれが必要だとは思わない」としつつも、「文書があれば悪くはない」と余地を残しました。

空爆を受けた後も約束通りの対応にとどまったイランは、今回の会談に前向きな姿勢を示しています。ペゼシキアン・イラン大統領は、国際規範に則ってアメリカとの問題を解決する用意があると述べました。

先立ってトランプ大統領はイランが中国に石油を輸出できるとして、イランの経済制裁が緩和される可能性を示しました。イランが国を再建するには資金が必要だから、ある程度の緩和は必要だというのがトランプ大統領の論理です。イランにとっては、制裁が解除される限り屈辱を甘受する構えに見えます。

イランの核施設が先週土曜日の空爆でどれほど破壊されたかについては議論があります。先にCNNとニューヨーク・タイムズは米国防総省の初期段階の報告書を入手し、遠心分離機のような重要施設は破壊されていないと報じています。イランの核開発プログラムは、数か月遅延する程度の影響で済むだろうと判断された文書です。

トランプ大統領とホワイトハウス関係者は2日連続でこうしたニュースをフェイクニュースと強く憤慨しました。該当ニュースを報じたCNN記者は解雇され、即座に追い出されるべきだとSNSにまで書き込みました。ホワイトハウスは該当文書が存在したこと自体は事実と認めましたが、この文書は下級官僚によるもので大きな意味はないと主張しています。そのうえで、イスラエル側の評価によるとイランの核兵器開発能力が数年後退したとの内容の報道資料を発表しました。

イラン政府もトランプ大統領のこうした主張を裏付ける発言を行いました。イラン外務省のエスマイル・バガイ報道官はアルジャジーラニュースとのインタビューで「その通り、我々の核施設は深刻に損傷した」と答えました。彼は「（核施設が）繰り返し攻撃を受けたので（被害は）明らかだ。これは技術的な問題なので、これ以上付け加えることはない」と述べました。

ただし、この発言自体も真偽は定かではありません。破壊されていないと主張し続けると、さらなる攻撃や圧力を招く恐れがあるためです。したがって、実際の核施設の破壊程度は、もう少し時間が経たないと明らかにならないでしょう。

400キログラムに及ぶイランの高濃縮ウランが現在どこにあるのかは確かではありません。イランがこのカードを使って、近くアメリカなどと再び核協議を行う可能性も否定できません。

ワシントン＝イ・サンウン特派員 selee@hankyung.com