「経済」を24回連呼したイ大統領「今が追加補正のタイミング」

公正な成長・民生経済を強調

「政府が動く時」迅速な補正予算を要請

「透明性を回復しコスピ5000時代を開く」

イ・ジェミョン大統領は26日、就任後初めて国会で施政方針演説を行い、「新たな成長エンジンを創出し、成長の機会と成果を分かち合う“公正な成長”の扉を開かなければ、格差と不平等を緩和し『皆が共に豊かに暮らす社会』へと進むことはできない」と述べました。民生の回復と経済成長を強調し、「公正」や「ルール」という言葉を何度も用いてバランスを取ったとの解釈も出ています。

大統領はこの日、国会本会議場で追加補正予算（補正予算）について施政方針演説を行い、「崩れた経済を立て直し民生経済を守ることが、今私たちが解決しなければならない最も急務の課題だ」とし、「このような低成長が続けば、チャンスの扉が狭まり、競争と対立が激化する悪循環に陥る」と述べました。この日、大統領はA4用紙8枚分の演説で「経済」という単語を24回、「成長」を12回、「回復」を10回、「民生」を9回など、複数回言及しました。

大統領は「今は経済を再び動かすために政府が動く時だ」と述べ、「経済危機の中で政府が手をこまねいて緊縮だけにこだわるのは無責任な傍観であり、政府の存在理由を自ら否定する行為になりかねない」と強調。さらに「『経済はタイミングだ』と言われるが、今こそまさにそのタイミングだ」と訴えました。資本市場の正常化に向けて「透明性と公正性を回復しなければならない」とし、「企業もきちんと成長・発展する好循環でコスピ5000時代を切り拓くことができる」と述べました。

大統領は成長を強調しつつも、「公正の基盤に秩序を守る常識的で合理的な社会に進まなければならない」とし、「新しい社会に変化する過程には痛みを伴うが、雑草を取り除かなければ種を蒔けない」と語りました。

「補正予算は経済回復の潤滑油…危機で緊縮だけに固執するのは無責任」

イ・ジェミョン大統領は26日、就任後初の国会施政方針演説で経済回復と民生安定を強調し、危機脱出の起点となる追加補正予算案への国会の協力を要請しました。大統領は「ただ実用主義に基づいて国民の生活を見守り、景気回復と経済成長の新たな道を切り開くために最善を尽くす」と力説。4700文字余りの演説で「経済」は24回、「成長」は12回、「回復」は10回登場しました。

「歳入更正で財政を正常化」

大統領は演説で韓国経済の危機をびっしり指摘。「コロナパンデミックも耐え抜いた韓国経済が、この3年間で深刻な危機に陥った」とし、「高物価・高金利・高為替で経済成長率は4四半期連続で0%台にとどまり、今年第1四半期はマイナス成長を記録した」と述べました。

今年第1四半期の政府消費・民間消費・設備投資・建設投資のマイナス成長、過去最大の就職放棄青年数、年間100万人規模の自営業者廃業、脆弱層の家計貸付延滞率急騰など、危機を示す詳細指標も紹介されました。

大統領はこうした危機の中で「景気回復のゴールデンタイム」を逃さぬよう、補正予算案の早期通過と執行が必要だと訴えました。「今は経済を再び動かすために政府が動く時」だとし、「経済危機時に政府が手をこまねいて緊縮政策だけに固執するのは無責任な傍観であり、政府の存在理由を自ら否定することになりかねない」と語りました。

さらに消費刺激のための予算11兆3000億₩、景気活性化のための投資促進予算3兆9000億₩、小規模事業者・脆弱層支援の民生安定予算5兆₩など、補正予算案の具体内容を説明。消費刺激には脆弱層・人口減少地域へのオーダーメイド支援、投資促進には不動産プロジェクトファイナンス（PF）市場5兆4000億₩の流動性供給などが含まれています。

また大統領は10兆3000億₩規模の歳入更正で財政を正常化する方針も示しました。歳入更正とは、予算で想定した収入規模を実際の状況に合わせて減額する措置です。大統領は「今回の補正案は経済危機という干ばつを乗り切るための潤滑油であり、経済回復のための最低限の措置だ」と強調しました。

「公正な成長で格差を是正」

大統領は当面の経済危機克服を越えて新たな成長エンジンを探す意思も表明。その中で「公正な成長」をスローガンとして打ち出しました。公正な成長は、先端技術・エネルギー転換と並び、大統領の経済政策標語「真の成長」を具現する3大戦略の一つです。

大統領は「最近のように低成長が続けば、チャンスの扉が狭まり、競争と対立が激化する悪循環に陥る」とし、「新たな成長エンジンを創出し、成長の機会と成果を分かち合う公正な成長の扉を開くことで格差と不平等を緩和し、皆が共に豊かに暮らす社会へ歩み出せる」と語りました。

また「予測可能で合理的な社会をつくるため、私たち皆が最低限の合意を守らなければならない」とし、「公正な努力で成し遂げた正当な成功には拍手を送る合理的な社会をつくろう」と述べました。これは実用主義の下、産業育成のための企業フレンドリーな政策を展開しつつ、富の格差是正という伝統的な民主勢力の価値も損なわないという競合した意図と解釈されます。大統領はさらに「既得権益や特権、割り込みや抜け道で動く国ではなく、公正の基盤に皆が秩序を守る常識的で合理的な社会へ進まねばならない」とし、「新社会に変わる過程には痛みを伴うが、雑草を除かなければ種を蒔けない」と改革への意欲を明かしました。

また外交・安保についても言及し、経済との密接な関連性を強調。「国益中心の実用外交で通商やサプライチェーン問題を含む国際秩序変化に賢明に対応すべきだ」と述べ、「平和こそが食卓、平和こそ経済だ。平和が経済成長を牽引し、経済が再び平和を強める好循環によって国民の日常が揺るがない国を必ずつくる」と強調しました。

大統領はAI・半導体など先端産業への大規模投資、再生可能エネルギー中心のエネルギー転換、バイオ産業や製造業の革新、文化産業の育成なども挙げながら新成長動力を見いだす考えも示しました。

ハン・ジェヨン／カン・ヒョヌ記者 jyhan@hankyung.com