概要
- 米国上院が半導体の税額控除を従来の25%から35%に拡大する法案を可決し、サムスン電子やSKハイニックスなど主要半導体企業にとって好影響が予想されると報じた。
- 従来の半導体法に基づき390億ドルの補助金と750億ドルの融資支援も維持され、関連企業の米国内投資環境も改善されると伝えられている。
- 一方で、電気自動車など再生可能エネルギー関連の税額控除は大幅に縮小され、ヒュンダイ自動車やバッテリー企業等は悪影響を受ける見込みだと述べている。
米国、半導体法を維持

米国上院は1日(現地時間)、いわゆる「ドナルド・トランプ税法」を可決し、半導体税額控除率を25%から35%へ引き上げる案を盛り込みました。トランプ大統領が半導体税額控除の廃止を求めたにもかかわらず、控除が拡大された形です。
上院はこの日、「大きく美しい法案」(OBBBA)と呼ばれるトランプ税法を採決により可決しました。賛成と反対が50対50で分かれ、副大統領で上院議長を務めるJD・ヴァンス氏が賛成側にキャスティングボートを投じました。共和党議員53名のうち3名は国家債務増加への懸念などを理由に反対しました。
半導体企業の米国投資を促進する半導体法の主な内容を維持するだけでなく、関連施設や設備への投資に対する税額控除を拡大する内容も盛り込まれています。ジョー・バイデン前大統領の政策であったにもかかわらず、必要性が高いと判断された結果です。
○半導体法の恩恵維持
この日上院を通過した法案によると、半導体企業は米国内の施設や設備投資額について35%の税額控除を受けられます。現行の半導体法が規定していた25%から大幅な拡大です。当初、上院財政委員会が作成した草案(30%)より控除率が高くなっています。それだけ該当企業の業績にはプラスに働く見通しです。2022年末以降稼働する施設および2026年末までに着工する施設が対象となります。
トランプ大統領はこれまで「裕福な半導体企業に資金を与えなくとも、関税で投資を引き出せる」と強気の姿勢を見せてきました。しかし上院は半導体工場建設に関する補助金や融資の恩恵も維持することにしました。
半導体法には390億ドルに及ぶ補助金と750億ドル規模の融資支援が含まれています。サムスン電子やSKハイニックス、インテル、TSMC、マイクロンなど主要半導体および関連装置企業がこれら恩恵を拠り所として米国投資を決定し、実行しています。
○インフレ抑制法恩恵は大幅縮小
再生可能エネルギー関連投資や電気自動車(EV)への移行を促進するインフレ抑制法(IRA)関連の内容は大幅に後退しました。新車EV購入やリース時最大7,500ドル、また中古EV購入時は4,000ドルの税額控除制度は9月末までで終了となります。本来2032年までだった恩恵がなくなり、EV市場への打撃は避けられません。
下院では今年末まで適用される案が通過しましたが、上院ではその期間が3カ月短縮されました。JPモルガン・チェースはEV支援の廃止がテスラに12億ドル規模の損失をもたらすと予測しました。EV市場拡大を見据えて米国で大規模設備投資を行ってきたヒュンダイ自動車やバッテリー企業、関連部品企業も打撃を受ける見通しです。
風力・太陽光発電への投資恩恵は事実上受けることが困難になりました。上院財政委員会の草案にあった「2026年までに稼働開始した場合恩恵を与える」との内容は「2026年までに工事着手の場合」に緩和されたものの、中国製部品を使用する場合は逆に課税する等、事業推進が極めて厳しくなったと業界関係者は評価しています。これはハンファQセルズなどの事業にもマイナス要因となります。
LGエナジーソリューションやSKオンなど国内バッテリー企業の投資・財務状況に大きく影響する先端製造税額控除(AMPC)関連支援はそのまま維持されました。下院では2032年予定だった控除終了時期を1年前倒しする内容で可決されましたが、上院はこの内容を削除し元通りの恩恵が復活しました。
○共和党で3名離反…下院で再審議へ
その他、トランプ1期政権時に導入された減税・雇用創出法(TCJA)の恩恵恒久化や、トランプ在任中に出生した子供に1,000ドルを「トランプ口座」に支給する案、低所得層向け医療保険メディケイド削減などが盛り込まれました。
本法案には共和党議員53名のうち50名が賛成しました。債務上限を5兆ドル引き上げる案など米国財政に悪影響を及ぼすとの理由でランド・ポール議員(ケンタッキー州)が、またメディケイド削減が地元住民に悪影響を及ぼすという理由でトム・ティリス議員(ノースカロライナ州)、スーザン・コリンズ議員(メイン州)が反対しました。
当初反対が予想されていたリサ・マコウスキー議員(アラスカ州)が賛成に回ったことが決め手となりました。合計100名の上院議員が賛成50・反対50で分かれる中、副大統領兼上院議長のJD・ヴァンス氏が一票を行使する権利(タイブレーカー)を使い、ぎりぎりで可決を導きました。
法案が修正されたため下院で再度同内容で可決され、大統領署名を経て公布・施行される予定です。マイク・ジョンソン下院議長を始めとする共和党下院議員らは上院の修正部分に強い不満を示していますが、追加修正がなされた場合は再び上院で可決が必要となるため簡単ではなさそうです。トランプ大統領は7月5日の米国独立記念日前に法案公布を目指し、議員らの協力を呼びかけています。
ワシントン=イ・サンウン特派員 selee@hankyung.com

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