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混乱のジャクソンホール「利下げの扉は開かれたが...9月の約束ではない」[Fedウォッチ]

ソース
Korea Economic Daily

概要

  • 「Jerome Powell Fed議長がジャクソンホールシンポジウム基調演説で9月の利下げの可能性を示唆したことが市場に好感されたと伝えた。」
  • 「演説後、フェデラルファンド金利先物市場で9月利下げ確率が急騰し、これにより主要な株式市場や利下げ銘柄が上昇したと述べた。」
  • 「ただしPowell議長は利下げを確約せず、今後の雇用・物価データやインフレリスクが決定に大きな役割を果たすと語った。」
アニュアル主要国中銀シンポジウムである「ジャクソンホール経済政策シンポジウム」が開催されている米国ワイオミング州ジャクソンホールの風景。/ジャクソンホール=ビン・ナンセ特派員
アニュアル主要国中銀シンポジウムである「ジャクソンホール経済政策シンポジウム」が開催されている米国ワイオミング州ジャクソンホールの風景。/ジャクソンホール=ビン・ナンセ特派員

22日(現地時間)、米国ワイオミング州ジャクソンホール。Jerome Powell Fed議長のシンポジウム基調講演を控え、会場はやや緊張した雰囲気だった。ジャクソンホールシンポジウムは、米国でも屈指の美しい景観を誇るグランドティートン国立公園近郊のジャクソンホールで毎年8月末に開催される。バカンスシーズンの真っただ中、美しいリゾートの山荘で行われるイベントらしく、普段はフォーマルを重んじる中央銀行関係者も一様にリラックスした装いで参加者と談笑する姿が見られるのが一般的だ。しかし、今年は雰囲気がかなり違っていた。

今年で4年連続で取材に訪れたというMarketWatch記者は「例年より全体的に落ち着き、やや重苦しい雰囲気だ」とし、「White Houseからの圧力が強まる中で中銀関係者もメディア対応を極力控えている様子だ」と話した。匿名を希望したFederal Reserve Bank of St. Louis関係者は「(住宅ローン詐欺容疑で)White Houseや選出公務員がLisa Cook理事の辞任を求めている状況が影響しているようだ」と述べた。

次期Fed議長候補とされるChristopher Waller Fed理事は会場で記者に会い「発言は控えたい」と足早に立ち去った。Susan Collins Federal Reserve Bank of Boston総裁も「今は公式にコメントしづらい。後日話そう」と席を離れた。

騒然としていた会場の空気はPowell議長の基調講演が公開されると再び変わった。直前までタカ派的メッセージを警戒していた一部市場関係者の懸念を完全に払拭する発言が演説に含まれていたからだ。

Powell議長は「雇用の下振れリスクが高まっており、これは解雇急増や失業率上昇として速やかに現実化しうる」「現行政策が制約的なゾーンにあることから、リスクバランスの変化は政策スタンスの調整を求める可能性がある」と語った。わずか1カ月前、7月のFOMC記者会見でインフレリスクをより重く見て「慎重論」を貫いたのと比べて温度差は明らかだった。

「9月利下げの扉は大きく開かれた」

市場は予想以上のハト派転換に即反応した。前日まで下げ続けていた株式市場は大幅上昇し、フェデラルファンド金利先物市場で75%まで低下していた9月利下げ確率は演説直後92%まで再び急上昇した。米2年債利回りは10bp(1bp=0.01%ポイント)以上低下。ドル指数も1%近く下落した。

ウォール街では概ね「Powell議長が9月利下げへの扉を大きく開いた」と評価された。Michael Feroli JPMorgan Chase米国チーフエコノミストは「Powellの発言は9月FOMCでFedが政策金利を引き下げるとの市場の期待を裏付けた」「Fed首脳陣が本日のガイダンスを撤回するには、8月雇用統計がかなり強くなる必要がある」と話した。

Richard Clarida元Fed副議長は「Powellの関税によるインフレは持続しないとの基本シナリオを見ている」「来年頃には関税ショックも終わっているだろう。インフレ期待が固定されていれば、Fedは今より約150bp利下げし最終的なソフトランディングを実現できる」と述べた。

「9月利下げは確約ではなかった…より重要なのはデータ」

一方で慎重論も残る。Powell議長の演説が「心配よりも」タカ派的でなかっただけで、直ちに9月の利下げを確定したり連続的な利下げサイクル再開を予告したわけではないという。実際Powell議長は「関税による価格上昇圧力がより持続的なインフレダイナミクスを促す可能性もある」とし「インフレ期待値は今のところ十分固定されているが、その安定を当然視すべきではない」と述べた。

特に9月FOMCの前まで7月個人消費支出(PCE)物価・8月雇用統計・8月消費者物価指数(CPI)などFedが確認できる重要データによって決定結果が変わる可能性が大きいとの指摘も少なくない。Eric Rosengren元Federal Reserve Bank of Boston総裁は「Powell議長は“ほどよくハト派だった”としつつも『彼が9月利下げを“約束”したとは思わない。現状のようなデータ傾向が続く場合のみ利下げ可能性があるということ』と指摘した。「Powellは扉を開けているだけであって、必ずそうする必要はない」とした。Andrew Grantham CIBCチーフエコノミストも「8月雇用統計次第でFedが9月に利下げするか、10月に利下げするか判断が変わる可能性は依然残っている」と話した。

Fed内部ではいまだインフレリスクを心配する意見が根強い。Powell議長の演説後、Beth Hammack Federal Reserve Bank of Cleveland総裁は「当面はインフレ抑制に専念している」「中立金利までのギャップはごく小さい。この解消には非常に慎重でなければならない」と述べた。利下げを性急にすべきではないということだ。

序盤の安堵混じりの熱狂がやや落ち着きをみせ、フェデラルファンド金利先物市場の9月利下げ確率はニューヨーク東部時間午後1時時点で92%から87%に若干低下した。ただしPowell議長発言だけを注視してきた株式市場は引き続きラリーを展開している。特に利下げ恩恵を受けるRussell 2000指数は4%近く上昇し、景気敏感な消費財や住宅建設、金融セクターが大きく値を上げた。

ジャクソンホール=ビン・ナンセ特派員 binthere@hankyung.com

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