概要
- 米国がシェールオイルを背景に世界最大の産油国となり、ベネズエラ石油の統制権確保によって石油市場の「超大国」になったと伝えた。
- 米国がベネズエラの低価格重質油を活用してエネルギー自立と世界のエネルギー覇権強化を狙い、OPECの影響力を弱めていると述べた。
- 米国がイラン・ロシア制裁、欧州・インド向けのエネルギー輸出拡大、LNGの長期購入圧力などを通じ、軍事・外交手段まで動員してグローバルな石油・ガス市場を掌握していると伝えた。
期間別予測トレンドレポート


トランプの石油戦争
(2) 強まる米国のエネルギー支配力
石油市場の「超大国」となった米国
米国・ベネズエラ
産油量を合算すると
OPECの80%
国際原油価格まで
左右

米国が世界の石油市場における「超大国」として台頭した。ドナルド・トランプ政権が国内の石油採掘を加速させる一方、ベネズエラの石油支配権まで確保したためだ。
3日(現地時間)、米エネルギー情報局(EIA)によると、シェールオイル生産を追い風に2018年に世界最大の産油国となった米国は、今年、石油・天然ガスを1日平均約2360万バレル生産する見通しだ。1日約2060万バレルとされる国内消費を差し引いた300万バレルは輸出に回る見込みである。
米国の産油量は昨年、すでに世界2位・3位のサウジアラビア(1120万バレル)とロシア(1053万バレル)を合計した水準に達していた。ここに、米国が支配権を得たベネズエラで石油生産が増えれば、米国が左右できる産油量は1日2700万バレルへと拡大する。石油輸出国機構(OPEC)の産油量(3370万バレル)の80%に相当する。現在も石油市場で強大な影響力を誇示する米国が、石油市場の「超大国」になったというわけだ。
トランプ政権は、生産が中断しているアラスカのガス田開発も推進している。石油・ガスなどが相当量埋蔵されているとされるデンマーク領グリーンランドやガザ地区でも、米国は影響力拡大を図っている。こうなれば、石油市場における米国の発言力はさらに強まり得る。
海外の石油掌握に動く米国…トランプ、マドゥロ逮捕後に「石油を掌握」
資源豊富なグリーンランド・カナダにも触手…ガザ地区には「米国が掌握する」
「私のエネルギー政策は、最大の生産、最大の繁栄、最大の権力で定義される。」
ドナルド・トランプ米大統領は昨年10月を「国家エネルギー覇権の月」に指定し、こう述べた。第2期政権に入ってからは、石油・ガスなど化石燃料の生産拡大を求め、「ドリル、ベイビー、ドリル(掘って、もっと掘れ)」とも訴えた。今年初めにはベネズエラに介入して石油の支配権を確保し、世界各地へとエネルギー支配力を拡張している。「MEGA(MEGA・米国のエネルギーを再び偉大に)」という野心を示したものとみられる。

エネルギー覇権を強化する米国
米国は世界最大の産油国である。シェールオイル生産を背景に、2018年に従来1位だったサウジアラビアを抜いた。ただし、米国の石油埋蔵量は550億~690億バレル規模と推定される。第2位の産油国サウジの埋蔵量(2672億バレル)の約5分の1にとどまる。さらに、米国のシェールオイルの生産コストは、サウジなどの生産コストより高い。
米国は外国の石油支配権を確保することで、この問題を解決する構想だ。世界の石油埋蔵量1位のベネズエラ(3032億バレル)をはじめとする南米が第一次ターゲットとなる。今年初め、ニコラス・マドゥロ・ベネズエラ大統領を拘束して米国へ移送し、ベネズエラ石油の支配権を行使するとしたのが発端だった。その後、ベネズエラは20年にわたり続けてきた石油国有化措置を撤廃した。米企業がベネズエラで石油事業を行う道を開いた形だ。米国がベネズエラで確保した低価格の重質油でカナダ産オイルサンドの輸入を代替できれば、エネルギー自立を達成するだけでなく、世界のエネルギー市場で覇権を固められると見込まれている。
トランプ政権の国家安全保障戦略(NSS)は、米州大陸が含まれる西半球について「数多くの戦略資源を保有している」とし、国家安全保障会議(NSC)と各国駐在の米大使館がこれを把握して報告すべきだと明記した。ベネズエラ以外の国々も、資源開発の過程で米国の利害を反映するよう圧力を受ける見通しだ。
トランプ大統領が狙うグリーンランド、「米国の51番目の州にしたい」と述べたカナダ、かつて「米国が掌握したい」と語ったガザ地区はいずれも石油・ガスなどが豊富な地域だ。米国が最大限の圧力をかけているイランも、石油の埋蔵量と生産が多い国である。米国は現在、イラン近海に空母打撃群など軍事アセットを大規模に配備した。トランプ大統領は最近、イランの反政府デモ隊に向け「(政府)機関を掌握せよ」と扇動したこともある。米国がベネズエラに続き、これら地域の資源まで統制したり影響力を行使したりしようとしているのだ。そうなれば、世界の石油市場で米国の地位はさらに強化され、伝統的強者である石油輸出国機構(OPEC)の影響力は一段と縮小せざるを得ない。
軍事・外交手段まで総動員
米国は石油・ガスの販売にも積極的だ。インドに圧力をかけ、ロシア産原油の購入を停止させたのが代表例である。インドは今年初めまで、ロシア産原油を1日120万バレル輸入していた。この穴を米国産、ならびに米国が統制するベネズエラ産原油が埋めることになる。
米国は、ウクライナ戦争を受けてロシアと距離を置く欧州にも、自国産天然ガスの輸出を増やしている。欧州は来年からロシア産ガスの輸入を全面停止する方針だ。
米国は制裁対象のイランおよびロシア産石油の流通経路も遮断している。インドやオマーンなどに国籍を置く「シャドー・フリート」は、公海上で制裁国の原油を積み替える手法で原産地を偽装し輸出する。ビンヒョンジ産業研究院の専門研究員は「関税は法的論争が伴うが、エネルギー統制は地政学的な大義名分を掲げるため、法の枠外でより強力に圧力をかけられる」と述べた。
米国は同盟国に対しても、関税と安全保障協力を梃子に米国産エネルギーの輸入拡大を迫っている。欧州連合(EU)は昨年の関税交渉で、米国産液化天然ガス(LNG)などのエネルギーを年2500億ドルずつ、3年間で総額7500億ドル分購入すると約束した。韓国は4年間で1000億ドル規模の米国産エネルギーを購入することにした。
ワシントン=イ・サンウン特派員/キム・デフン記者 selee@hankyung.com

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