概要
- イーロン・マスク氏による約1340億ドル規模の訴訟で、オープンAIの法廷リスクが広がり、オルトマンCEOの指導力への疑問が強まっていると伝えた。
- オープンAIは年間売上高目標の未達とWAU10億人の達成失敗で投資家心理が揺らぐ一方、競合のアンソロピックは企業向けAIサービスでシェアを急速に伸ばしているとした。
- IPOを前にオープンAIの企業価値8052億ドルが膨らんだものの、オルトマンCEOがこれを裏付ける実績を示せなければ、上場計画の重荷になりうると伝えた。

対話型AI「ChatGPT」を開発するオープンAI(OpenAI)を率いるサム・オルトマン最高経営責任者(CEO)が、企業公開(IPO)を前に指導力を問われている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が5月3日、イーロン・マスク氏による約1340億ドル規模の訴訟と業績減速への懸念が重なり、同氏を巡る不透明感が強まっていると報じた。
WSJによると、オルトマンCEOは4月下旬、世界最大のクラウド企業であるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)との提携イベントに出席する予定だった。だが、マスク氏がオープンAIとオルトマンCEOらを相手取って起こした訴訟の弁論期日に出廷する必要があり、会場には行けなかった。
オルトマンCEOは事前収録した映像で「きょうこの場にいたかったが、自分の予定の主導権を奪われる事態が起きた」と語った。
WSJは、この一幕がオルトマンCEOの置かれた状況を映していると指摘した。オープンAIが年内の上場を目指す重要局面で法廷リスクが膨らみ、同氏が会社を安定的に率いられるのかという疑念が強まっているという。
経営実績を巡る懸念もある。競合のアンソロピック(Anthropic)は、コーディングなど企業向けAIサービスを武器にシェアを急速に伸ばしている。一方のオープンAIは、昨年の年間売上高目標を下回り、週間アクティブユーザー数(WAU)10億人の達成にも届かなかったと伝わり、投資家心理が揺らいでいるとWSJは伝えた。
オープンAIの企業価値は、IPOを前に8052億ドルまで膨らんでいる。もっとも、オルトマンCEOがその評価を裏付ける実績を示せなければ、上場計画の重荷になりかねない。
WSJは、オルトマンCEOの危機を、かつてマスク氏がテスラのトップの座を追われかけながら劇的に立て直した事例と重ねた。ただ、マスク氏は電気自動車の販売実績とスペースXの再使用型ロケットの革新で投資家の不安を和らげたのに対し、オルトマンCEOはなお同水準の目に見える成果を示せていないと分析した。
オルトマンCEOは2015年、マスク氏らシリコンバレーの関係者とともに、非営利法人としてオープンAIを共同創業した。その後、2019年には営利法人への転換を主導し、マイクロソフト(Microsoft)などから大型投資を呼び込み、ChatGPT開発の基盤を築いたと評価されている。
マスク氏はオルトマンCEO側との対立を受け、2018年にオープンAIを去った。同氏は、オープンAIが非営利運営の約束を破って不当に拡大し、自らが損害を受けたと主張している。
マスク氏は現在の訴訟で、オープンAI側にオルトマンCEOの解任と、1340億ドルにのぼる利益の非営利財団への返還を求めている。
WSJは、オルトマンCEOが過去の成功物語をつなげなければ、AI業界の不確実性を象徴する存在に転じる恐れがあると論じた。驚きはあるが信頼性に欠ける技術というAIへの見方を体現する人物になりかねないとしている。
ホン・ミンソン 韓経ドットコム記者 mshong@hankyung.com

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