アップル、SiriのAI機能遅れで2.5億ドル和解案 サムスン・グーグルに商機

出典
Korea Economic Daily

期間別予測トレンドレポート

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「iPhoneのSiri、AI機能が遅延」

「米で2.5億ドルの和解案に同意したアップル」

「サムスンとグーグルは空白を突くか」

「AIスマホ競争、問われるのは実行力」

写真:Shutterstock
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アップルが人工知能(AI)スマートフォン競争で思わぬ暗礁に乗り上げた。差別化の柱として掲げた「より賢くなったSiri」の実装が予定通り進まず、米国では大規模な集団訴訟の和解案に同意した。スマートフォン各社がAI機能を競って前面に押し出すなか、実際には提供していない機能をマーケティングに使うことが新たなリスクとして浮上している。

5月10日、業界関係者や海外メディアによると、アップルはSiriのAI機能の遅れを巡る米国の集団訴訟で、2億5000万ドルの和解案に同意した。裁判所の承認手続きは残っており、アップルが違法行為を認めたわけでもない。それでも、スマートフォンのAI機能の遅れが集団訴訟に発展した点は見逃せない。

今回の和解案の対象は、米国で一定期間にiPhone 16シリーズとiPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Maxを購入した消費者とされる。訴訟の焦点は、アップルが2024年の世界開発者会議(WWDC)とiPhone 16の販促でApple IntelligenceとSiriの強化機能を大々的に訴求しながら、実際の発売時には一部の中核機能を搭載していなかった、という主張にある。

「文脈を理解するSiri」を訴求したが発売時は未搭載

論争の中心にあるのはSiriだ。アップルは2024年のWWDCでApple Intelligenceを公開し、Siriが利用者の文脈を理解し、アプリをまたいでより複雑な作業をこなせるようになると強調した。メッセージ、予定、写真、メールなど端末内の情報をもとに、より個別化した回答や実行を支援するAIアシスタントを打ち出した。

ところが、iPhone 16の発売時点で、消費者が期待したSiri刷新機能の相当部分は提供されなかった。Apple Intelligenceの一部機能はその後順次追加されたが、個人の文脈を理解し、アプリ間の作業を実行するSiriの中核機能は遅れたままだ。

この状況は、アップルが築いてきた「完成度の高いソフトウエア」のイメージとそぐわないとの指摘を招いている。アップルはハードウエア、基本ソフト(OS)、チップ、アプリのエコシステムを自社で統合的に管理しており、オンデバイスAI競争で優位に立つとの評価を受けてきた。もっとも、AI機能を実際に使えるサービスとして送り出すスピードでは、サムスン電子やグーグルに見劣りするとの見方もある。

スマートフォン市場では、AIがプレミアム端末の中核的な訴求点に浮上している。今回の和解案が持つ意味は小さくない。消費者が購入時に期待したAI機能が適時に提供されなければ、単なるアップデートの遅れでは済まず、信頼の問題に発展しかねないためだ。

「今使える機能」を前面に出すギャラクシー

アップルがSiri遅延を巡る論争に包まれるなか、サムスン電子とグーグルの動きにも注目が集まっている。サムスン電子は年初に公開したGalaxy S26シリーズでも、Galaxy AIを主力機能として前面に出した。2024年のGalaxy S24シリーズで「AIスマホ」を掲げて以降、S25を経てS26まで、フラッグシップ機の主要な販促要素としてAIを活用している。

サムスン電子が強調するのは、リアルタイム通訳、テキスト要約、画像編集、検索支援といった機能だ。大規模AIアシスタントの未来像を前面に押し出すというより、通話、メッセージ、写真、検索など利用頻度の高い機能にAIを組み込む戦略を採る。

AI機能を新製品だけに限定していない点も違いとして挙がる。サムスン電子はOne UIのアップデートを通じ、一部の既存Galaxy端末にもAI機能を段階的に広げている。足元ではOne UI 8.5アップデートもGalaxy S25シリーズなど既存機種へ拡大している。ただ、機種や地域によって提供時期や機能範囲に差がある。

AIスマホ競争は、新端末の販売競争を超え、既存利用者に新機能をどれだけ速く届けるかという争いにも広がっている。アップルがSiri機能の遅れで信頼を巡る論争に直面する一方、サムスン電子はGalaxy S26シリーズとOne UIアップデートを通じ、AI機能の適用範囲を広げている。

グーグルもアンドロイド陣営でのAI拡大を急いでいる。グーグルは5月12日に「The Android Show」を開き、5月19〜20日にGoogle I/O 2026を開催する。今回のイベントでは、アンドロイドスマートフォンでAI機能がどう変わるかが主要な関心事となりそうだ。

グーグルの強みはアンドロイド基盤にある。AIモデルのGeminiをアンドロイドに深く組み込めば、サムスン電子など端末メーカーもそれを活用し、AI機能をより速く製品に反映できる。アップルがiPhone内で自前のAI機能の完成度向上に集中するのに対し、サムスン電子とグーグルはアンドロイドのエコシステム全体にAI機能を広げやすい。

6月のWWDCでAIへの信頼を回復できるか

アップルにとって、6月8〜12日に開くWWDC 2026は流れを変える機会となる。次世代iOSやApple Intelligenceに関する追加機能をこの場で公表する可能性がある。Siri刷新の遅延を巡る論争が広がっただけに、AI機能の完成度と投入時期をどこまで具体的に示せるかが焦点になる。

今回の問題はアップル固有のものではないとの見方もある。スマートフォンメーカー各社がAI機能をプレミアム機の中核的な差別化要素として掲げるなか、誇張されたマーケティングと実際の利用体験の隔たりは、ほかの企業にも重荷となりうるからだ。

ただ、消費者の信頼という観点では、今回の事態がアップルに与える打撃は小さくない。イ・ホンジュ淑明女子大消費者学科教授は「消費者の信頼は低下せざるを得ない」と指摘した。消費者が信じて製品を買ったにもかかわらず、約束した機能が欠けていれば、単なる機能漏れではなくブランドへの信頼を揺るがす要因になると説明した。さらに、こうした経験が積み重なれば、ロイヤルティーにも影響しうると付け加えた。

一方で、競合には好機になりうるとの見通しもある。イ教授は、AI機能競争がスマートフォンの主要な購入要因になるにつれ、消費者は「今使える機能」を重視し始めたと分析する。そのうえで、競合が約束したAI機能を巡って論争に巻き込まれている局面では、約束をきちんと守り、「未来のAI」より「今使えるAI」で訴求できれば、長期的にはシェア上昇にもつながりうると述べた。

ホン・ミンソン 韓経ドットコム記者 mshong@hankyung.com

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