概要
- ジェローム・パウエル解任説が報道され、市場で債券価格の急落や国債利回りが年5%を突破するなど、不安定な動きが見られた。
- トランプ大統領は解任説を否定し、市場がやや落ち着く様子を見せたと述べられている。
- Fedの独立性を巡る議論が続く場合、米政府に対する市場の信頼が損なわれる可能性を警告した。
共和党議員らと非公開の協議
外部に伝わり「金融不安」を招く
トランプ「解任の計画はない」と火消し

ドナルド・トランプ米大統領は一歩後退しました。ジェローム・パウエル米中央銀行(Fed)議長の早期退任を強く主張してきたトランプ大統領ですが、きょうパウエル議長の解任が間近との報道が出てその関連質問を受けると、「可能性は低い」と答えました。普段とは違う様子で、市場の敏感な反応を懸念しているようでした。
それ以前にパウエル議長解任が近いとの報道が流れ、市場では債券価格が急落しました。30年満期の米国債利回りは東部時間の正午ごろに年5.04%を記録しました。前日比で2bp上昇しましたが、絶対的な上昇幅というよりは年5%という心理的な抵抗線を突破した象徴性の方が大きかったです。特にこの日午前10時45分ごろには4.97%水準から5.04%へと7bp上昇しました。
市場の動揺を引き起こしたのは、トランプ大統領が前日共和党議員らと非公開に会談した内容が外部に伝わったためです。この場でトランプ大統領はパウエル解任について意見を求め、議員らも概ね賛成の雰囲気だったといいます。特にフロリダ州のアナ・ポリーナ・ルナ議員は前夜、SNS「X」で「非常に信頼できる情報筋からパウエルが解任されると聞いた」「99%確信している、解任は間近だ」と投稿しました。
しかし市場が即座に反応したため、トランプ大統領はトーンダウンしました。きょう記者団の質問に「私は何も排除しない」としながらも、「だが彼が詐欺で辞任すべきでない限り、解任の可能性は非常に低いと思う」と述べました。またパウエル議長解任の計画があるかという追加質問にも「計画していない」と答えました。この発言後、市場はやや落ち着きを見せました。

30年物国債金利は現在5.01%台まで下がっています。S&P500指数はこの日6200台前半まで下落した後、トランプ大統領の発言を受けて6260台に回復し、0.3%高で取引を終えました。ダウ工業株30種平均も0.5%上昇して取引を終えました。ドルも一時97.8まで下がりましたが98.2まで戻しています。

トランプ大統領が「詐欺」に言及したのは、Fed議長の解任権限が大統領にないためです。特別な理由がなければ連邦準備制度理事会議長は辞任しなくてもよいが、詐欺など特別な事由がある場合には辞任の可能性もゼロとはいえません。しかし、それは極めて特別なケースです。いまトランプ政権はFedビルの改修に25億ドル(約3兆5000億ウォン)を使ったと主張しており、当初計画より7億ドル増加したといいます。トランプ政権はこれを問題視しパウエル議長解任も検討していたようです。ただ、パウエル議長は補修費が増えたのは理由があったためと、報道は誇張されているとの立場です。
Fedの独立性に関する議論自体が米国政府には決して良いことではありません。金利を下げようと努力しても、市場が米政府を信頼できなければ債券価格は下落し利回りは上昇します。無理に金利を下げてインフレが加速すれば国民の不満も高まります。ウォール街も相次いで警告を発していますが、トランプ大統領の考えが変わるかは不透明です。

ワシントン=イ・サンウン特派員 selee@hankyung.com

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