概要
- 経済学者の多くは、AIブームがPCE上昇率と中立金利を0.2%ポイント未満押し下げるにとどまるとみている。
- 一部のFRB関係者は、AI関連需要の増加でインフレが一時的に高まり、利下げ余地が制約され得ると述べた。
- ウォッシュ指名者が短期金利の引き下げとFRBバランスシート縮小を並行すれば、長期金利と住宅ローン金利の上昇を通じて市場の混乱が生じ得ると分析した。

人工知能(AI)ブームによる生産性向上が利下げへの道を開くとする、ケビン・ウォッシュ米連邦準備制度理事会(FRB)次期議長指名者の主張に対し、経済学者の大半は「実現は難しい」との見方を示した。
8日(現地時間)、フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、米シカゴ大学クラーク金融市場センターが経済学者45人を対象に実施した調査で、回答者の56%は、AIブームが個人消費支出(PCE)上昇率と中立金利を今後2年以内に0.2%ポイント未満押し下げる程度にとどまると判断した。32%は、AIブームが中立金利をむしろ0.2〜0.5%ポイント押し上げる可能性があると答えた。
ウォッシュ指名者の主張とは逆の結果だ。ウォッシュ氏は「AIは過去・現在・未来を通じて、われわれの生涯で最高の生産性向上の波を起こす」と述べるなど、AIブームで生産量が拡大すれば、物価上昇を招かずに政策金利を引き下げる余地が生まれると主張してきた。
ただし、一部のFRB関係者や経済学者は、AIが最終的に生産能力を大きく高め得るとしても、短期的には物価圧力を強めるとの立場だ。フィリップ・ジェファーソンFRB副議長は6日、ブルッキングス研究所主催のイベントでデータセンター建設ブームの影響に触れ、「AI関連活動と連動した需要は、より即時的に増加する」とし、「これを相殺する金融政策がなければ、インフレを一時的に押し上げ得る」と述べた。
FTは「こうした見解の相違は、ウォッシュが(利下げを巡って)連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの支持を取り付けるのが容易でないことを意味する」とした上で、「11月の中間選挙を前に、ドナルド・トランプ米大統領が望む規模の利下げを実施するのが難しくなるだろう」と分析した。トランプ大統領は中間選挙までに政策金利を年1%水準へ引き下げるようFRBに圧力をかけているが、FRBは利下げに慎重な姿勢を堅持している。昨年12月のFOMC会合後に公表されたドットチャートの平均では、FOMCメンバーは今年と来年にそれぞれ1回ずつの利下げを見込んだ。
また、ウォッシュ指名者はFRBの資産規模が肥大化しているとしてバランスシートの縮小を主張してきたが、調査では回答者の4分の3が、ウォッシュがその目標を達成すると予想した。FRBのバランスシートが2008年の金融危機前の水準である1兆米ドル未満に近づき得ることを意味する。ただし、その作業が攻撃的に進めば長期金利が上昇し、住宅ローン金利が引き上げられる可能性がある。有権者の住宅購入負担が増えることは、選挙を控えたホワイトハウスが警戒する点の一つだ。
短期金利を引き下げながらFRBのバランスシートを縮小しようとするウォッシュ指名者の相反する2つの政策が、市場に混乱をもたらしかねないとの指摘も出ている。
ハンギョン記者 hankyung@hankyung.com

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