概要
- 世界の金融市場は、イラン戦争とホルムズ海峡の封鎖にもかかわらず、比較的落ち着いた推移を示していると伝えた。
- 投資家は国際原油価格の急騰にもかかわらず、今回の事態が短期決着で終わるとの期待の下、先物市場で長期の供給危機を大きく織り込んでいないと述べた。
- WSJは、戦略備蓄放出と米国株式市場の限定的な下落にもかかわらず、戦争が長期化すれば市場が急変し得るため不確実性に備える必要があると指摘したと伝えた。
期間別予測トレンドレポート


原油価格は1バレル100ドルを超えたが
過去の中東危機と比べれば相対的に低い
米国は最大の産油国で、IEAが備蓄放出
ウォール街は短期戦で終わるとの見方に過度に期待

イランと米国・イスラエルの戦争が激化し、タンカーが攻撃を受け原油輸送路が事実上封鎖される状況でも、世界の金融市場はまだパニックに陥っていない。だが、市場が戦争を過度に楽観視しているとの警告が出ている。
12日(現地時間)、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、国際エネルギー機関(IEA)が今回の戦争を「世界の石油市場史上最大の供給途絶」と位置づけるほど深刻な事態であるにもかかわらず、市場では短期決着になるとの過度な自信が広がっていると分析する記事を掲載した。
米国とイスラエルによるイラン攻撃後、世界で最も重要な原油輸送路であるホルムズ海峡は事実上閉鎖され、一部海域には機雷まで敷設されたと伝えられた。ドローン攻撃を受けたタンカーが炎上する映像が相次ぎ、中東原油への依存度が高い国々は原油価格の急騰を抑えるため市場介入に乗り出している。
それでも国際原油価格は1バレル約100ドル水準にとどまっている。これは過去の中東危機と比べれば相対的に低い水準だ。インフレ調整後の基準でみると、ブレント原油は1979年のイラン革命時に1バレル179ドルまで急騰し、1980年のイラン・イラク戦争では155ドルを記録した。2011年のアラブの春には180ドル水準まで上昇し、ロシアのウクライナ侵攻直後の2022年にも原油は130ドルまで急騰したことがある。
WSJは、戦争状況に比べて原油高が限定的な理由を大きく3点に分けて分析した。第一に、戦争勃発前の原油価格自体が低かったことだ。
今回の衝突が始まる前、世界の原油在庫は直近5年で最も高い水準を記録しており、原油価格は1バレル72ドル程度にとどまっていた。これは1970年以降のインフレ調整後の平均価格をも下回る水準だ。
ただし上昇スピード自体は極めて速い。戦争開始後、最初の9取引日で原油は約40%上昇した。これはアラブの春初期の上昇率を大きく上回るペースで、2022年のロシアのウクライナ侵攻や1990年の湾岸戦争初期の上昇幅に近い水準だ。
第二の理由は、市場がなお戦争の長期化リスクを十分に織り込んでいない点だ。投資家は今回の衝突が数週間以内に終わるとの期待を抱いている。先週末には長期化懸念が提起されたが、ドナルド・トランプ大統領が月曜日に「戦争はほぼ完全に終わった状態だ」と述べ、市場は再び安堵ムードを見せた。
実際、原油は8日夜に一時1バレル128ドルまで急騰したが、トランプ大統領の発言後に上昇分の大半が吐き出された。株式市場も反発した。
予測市場のポリマーケットでは、月末までに戦争が終結する可能性が20%から43%へ上昇した後、再び20%水準へ低下した。
ウォール街も徐々に長期化リスクを織り込み始めている。ゴールドマン・サックスは、ホルムズ海峡での供給途絶が続く期間の見通しを従来の10日から21日に引き上げた。原油生産と輸送が正常化するまでには数週間を要するため、実体経済への影響はさらに長引き得るとの分析だ。
それでも投資家は、今回の事態を長期的な供給危機ではなく短期的なショックにとどまるとみている。これを示すのが先物市場だ。即時引き渡しの原油価格は大きく上昇した一方、12月渡し原油の上昇幅はその半分程度にすぎない。
これは市場が、今回の事態を数カ月以上続く構造的危機ではなく、数週間内に収束する可能性が高い短期ショックとみていることを意味する。
第三の理由は戦略備蓄の放出だ。IEAと加盟国は約4億バレル規模の戦略備蓄放出に踏み切った。ホルムズ海峡を通過していた原油は1日約2000万バレル規模だったが、このうち約1500万バレルが支障を受けていると推定される。一部はサウジアラビアのパイプラインで迂回輸送され、他地域でも増産が試みられている。
備蓄放出は供給途絶を完全に代替できる水準ではないが、短期的に原油高圧力を和らげる役割を果たしている。
株式市場も比較的安定した値動きだ。
イラン戦争開始後、S&P500指数は約3%下落するにとどまった。一部の国の株式市場は大きな衝撃を受けたが、米国株は相対的に影響が小さかった。
投資家が比較的冷静な理由は、米国経済が過去よりエネルギーショックに強くなったためだ。米国は現在、世界最大の産油国となっており、エネルギー価格上昇が経済に与える打撃は以前より限定的だとの見方が出ている。
ただし、こうした市場の楽観論は一つの前提に立脚している。戦争が短期間で終わるという仮定だ。
市場では過去の経験や政治状況などを根拠に短期決着を予想している。トランプ大統領が状況悪化時に引く可能性がある点、今年米大統領選が予定されている点、そしてイランが空爆被害を長期に耐えにくいとの分析などが、こうした見通しの根拠として挙げられる。
しかし戦争の行方は単純な論理では説明しにくいとの指摘も出ている。
イラン国営メディアによれば、イスラエルの空爆で新たなイラン指導者の家族が死亡した。これにより、イラン指導部が報復を先送りして権力を固めた上で軍事力を再建するのか、あるいは現状のまま戦争を続けるのか、不確実性が増している。
イエメンの事例は、国家が深刻に弱体化した状況でもミサイルやドローン攻撃が続き得ることを示す。イランはイエメンよりはるかに強力な国家であり、狭いホルムズ海峡に機雷を敷設するのは比較的容易だが、交戦状況でそれを除去するのは極めて困難な作業だ。
WSJは、金融市場が戦争が短期で終わるとの仮定に過度に依存していると指摘した。
大型タンカーの沈没や民間航空機の撃墜、あるいはサウジアラビアの主要パイプライン攻撃のような事案が発生すれば、市場の判断は一瞬で変わり得るという。
結局、現在の金融市場の落ち着きは、戦争が短期間で終わるとの期待に基づいている。だが、戦争の結果と持続期間を確信できない状況では、いまは結果を楽観するよりも不確実性に備えるべき局面だとの分析が出ている。
ニューヨーク=パク・シニョン特派員 nyusos@hankyung.com


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