【独自】中国勢の攻勢とチップフレーションが直撃、サムスンがテレビ・家電を大再編

出典
Korea Economic Daily

概要

  • サムスン電子は、韓国総括を対象に高強度の経営診断を実施し、営業組織のコスト構造の全面的な見直しを進めている。
  • 採算の低い食器洗い機や電子レンジなど、低収益の家電生産ラインを閉鎖し、外部委託生産(OEM・ODM)へ切り替える方針だ。
  • 捻出した人員と資源は、AI家電HVAC、家電のサブスクリプションサービスなど高付加価値事業に集中投入し、業績の反転を狙う。

期間別予測トレンドレポート

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サムスン、韓国営業組織を経営診断 生産ラインも再編

家電・モバイルなどを重点点検

一部の低収益ラインは閉鎖し外部委託へ

写真:PJ McDonnell/Shutterstock
写真:PJ McDonnell/Shutterstock

サムスン電子が、韓国内でテレビや生活家電、スマートフォンの販売・営業を担う「韓国総括」に対し、高強度の経営診断に乗り出した。あわせて採算の低い一部家電の生産ラインを整理するなど、大規模な事業再編にも着手した。

長引く需要低迷に中国勢の攻勢、中東戦争の余波による原材料価格の急騰が重なったためだ。三重苦を打開する苦肉の策といえる。

4月28日、業界によると、サムスン電子は3月下旬から韓国総括を対象に経営診断を進めている。韓国総括は国内営業とマーケティングを担う組織で、世界市場攻略の前線基地でもある。診断はデバイス・エクスペリエンス(DX)部門の経営診断チームを率いるイ・サンウォン副社長が担当している。

今回の診断は、2025年に事業支援室主導で実施した映像ディスプレー(VD)事業部の診断の延長線上にある。対象を生産部門から営業現場まで広げた点が大きい。家電(DA)とテレビ(VD)事業は2025年10〜12月期に赤字へ転落した。2026年はモバイル(MX)事業も赤字に転じる可能性が取り沙汰されており、営業組織のコスト構造を全面的に組み替える狙いとみられる。

事業構造の見直しも並行して進める。家電事業部は最近、食器洗い機や電子レンジなど低収益の一部家電ラインを閉鎖し、外部委託生産(OEM、ODM)へ切り替える方針を決めた。

国内営業組織を経営診断 低収益製品は外部委託へ

電子レンジなどの生産ライン閉鎖 AI家電・HVACなど高付加価値分野に集中

サムスン電子の完成品を扱うDX部門の営業利益は、2021年の17兆3000億ウォン(約1兆9000億円)から、2025年には1兆9000億ウォン(約2100億円)まで縮小した。わずか4年で収益力は10分の1近くに落ち込んだ計算だ。新型コロナウイルス禍による特需の終了、需要低迷、中国勢の波状攻勢に加え、チップフレーション(半導体価格の上昇)まで重なった。

2026年は危機感が一段と強まっている。2025年10〜12月期に赤字へ転じた家電(DA)とテレビ(VD)事業は、2026年も業績の持ち直しが見通しにくい。DX部門の最後の支えだったモバイル(MX)も、メモリー価格急騰の直撃を受けている。主要事業部がそろって赤字に陥る可能性まで浮上している。サムスン電子が国内営業の中核である韓国総括に高強度の経営診断を始めた背景である。今回の診断と同時に進む生産設備の調整などは、完成品事業全体の生き残りをかけた体質改善の号砲となりそうだ。

◇中国勢の攻勢で揺らぐ本拠

4月28日、業界によると、サムスン電子は韓国総括を対象に、マーケティング費用や在庫管理など営業構造全般を点検している。韓国総括は国内の家電販売代理店や量販店、オンラインモールを管理し、営業戦略を組み立てる組織だ。消費者を呼び込むための販促費やマーケティング費用の支出が大きい。今回の診断では、支出規模の大きい企業対消費者間取引(B2C)部門を重点的に見ているという。

サムスン電子が営業組織にメスを入れたのは、米国とイランの戦争による原油高に加え、メモリー価格など原材料価格の上昇で収益性の確保が急務になったためだ。従来は価格競争力を前面に出していた中国家電メーカーが、最近は技術力まで高めて韓国市場のシェアを侵食していることも重なった。サムスン電子は従来型の営業手法では勝ち目がないと判断したもようだ。ロボット掃除機市場では、ロボロックやエコバックスなど中国勢が7割超のシェアを握り、韓国市場を席巻している。

今回の診断は、単なるコスト削減にとどまらない。営業の仕組み全体を組み替えるシグナルと受け止められている。不要な販促費を削ぎ落とし、業界の慢性的な問題である押し込み型営業の慣行や在庫管理の実態を把握し、コスト構造をゼロベースで再設計する方針だ。業界では、今回の診断結果を今後、世界の営業組織全体に広げる可能性があるとみている。業界関係者は「この機会に営業戦略を再設計し、営業効率を最大化する狙いだ」と説明した。

◇低収益の家電ラインも再編

事業構造の再編も同時に進める。家電事業部は4月17日、社員向けの経営説明会を開き、収益性改善に向けた事業構造改革案を示した。製品ごとの採算を見直し、収益性の低い製品を中心に外部委託生産へ切り替える方針だ。非中核製品である食器洗い機や電子レンジは、相手先ブランドによる生産(OEM)や設計・生産受託(ODM)への転換を検討している。電子レンジを生産するマレーシア工場は閉鎖することにした。

サムスン電子は、こうして生み出した余剰人員と資源を高付加価値事業へ重点投入する。人工知能(AI)家電やソフトウエア開発、世界の冷暖房空調(HVAC)市場の開拓、家電のサブスクリプションサービス、B2B特化ラインアップの拡充が柱となる。とくに2025年に買収した独フレクトグループとの協業を通じ、データセンター向け冷却ソリューションなど高成長分野である中央空調市場でシェアを大幅に引き上げる計画だ。

業界関係者は「対外リスクによるコスト上昇と中国勢の攻勢で、収益防衛は限界に近づいた」と指摘した。そのうえで「高付加価値事業への素早い転換が、サムスン電子の業績反転の鍵になる」と語った。

カン・ヘリョン/ウォン・ジョンファン記者 hr.kang@hankyung.com

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