概要
- AIエージェントがステーブルコインで1カ月に236万4000件、累計4956万4000ドルを決済していることが分かった。
- AIエージェントの普及で、超少額・リアルタイムのステーブルコイン決済需要が拡大するとの見方が出ている。
- ビザ・マスターカードなどは、AIエージェント決済を既存のカード決済の枠組みに取り込む戦略を進めている。
期間別予測トレンドレポート



人工知能(AI)エージェントが米ドル連動型のステーブルコインで自動決済する取引が、月200万件を超えていることが分かった。累計決済額は5000万ドルに迫る。AIエージェントが必要なサービスを使うたびに少額を支払う場面が増えれば、ステーブルコイン決済の利用も広がりそうだ。
AIがリアルタイムで決済処理
4月28日にエージェンティックマーケットが公表したデータによると、直近1カ月にAIエージェントがステーブルコインで決済した件数は236万4000件だった。2025年5月以降の累計決済額は4956万4000ドルに達した。足元では1日あたり2万ドル前後の決済が発生している。
エージェンティックマーケットは、米暗号資産交換所コインベース(Coinbase)が運営するAIエージェント向け決済市場だ。コインベースは2025年5月、AIエージェントが有料サービスを利用する際、ステーブルコインで自動決済できる技術「x402」を公開した。エージェンティックマーケットでは、AIエージェントの決済の流れをリアルタイムで確認できる。
これまで外部の有料データを使うには、人が事前にアカウントを作成し、カードや口座を登録したうえで、接続用コードを受け取る必要があった。決済も一定期間の利用件数をまとめ、月末に精算する方式だった。
一方、AIエージェントの決済はシンプルだ。検索や天気、価格情報などの有料データを外部サービスに要求すると、あらかじめ連携した暗号資産ウォレットから代金がリアルタイムで支払われる。例えばAIの旅行アシスタントが航空券情報を調べるためグーグルフライトに照会をかけ、USDコイン(USDC)で0.02ドルを支払うといった使い方だ。
AIエージェントの活用が広がるほど、超少額かつリアルタイムの支払いに対応できるステーブルコイン決済の需要は大きくなる。AIエージェントは人の確認を毎回挟まず、検索やデータ照会を繰り返す。既存のカード決済や口座振替も技術的には超少額決済に対応できるが、取引が細かく分かれるほど承認や精算、管理のコストは膨らむ。100ウォンの支払いを100回処理すれば、決済と精算も100回発生する。このため既存システムでは、1万ウォンを一度に処理する方が効率的だ。
実際、AIエージェントがデータ利用に支払う費用は1ドル未満が多い。音声AIサービスのディープグラム(Deepgram)の一部機能は、1回あたり0.34ドル程度で使える。カードで決済すれば、手数料負担の方が大きくなる可能性がある。
カード会社には脅威であり機会でもある
AIエージェントがステーブルコインを通じて直接支払いを行う流れが広がれば、カード会社や簡便決済事業者など既存の決済事業者は対応を迫られる。カード会社や簡便決済事業者は、人が加盟店で支払う際に承認、認証、買い取り、精算を仲介し、その過程で手数料を得る事業モデルを採っている。だが、ステーブルコインを基盤とする決済が活発になれば、カード承認網や簡便決済画面を通らない取引が増える可能性がある。
韓国のカード業界関係者は、一般加盟店が決済をあえて細かく分けて処理する需要は大きくないとみる。そのうえで、AIエージェントが複数の外部サービスを行き来し、案件ごとに費用を払う形が広がれば、従来とは異なる課金・精算方式への需要が生まれるとの見通しを示した。
ビザ(Visa)やマスターカード(Mastercard)など海外の決済大手は、AI決済をカード網の中に取り込む形で対応を急いでいる。利用者があらかじめ決済上限や条件を設定しておけば、AIエージェントがその範囲内で商品を検索し、購入まで済ませる仕組みだ。AIエージェントが新たな決済主体として台頭するなか、ステーブルコインウォレットに主導権を奪われる前に既存の枠組みに吸収したい戦略とみられる。
コビット(Korbit)リサーチセンターのキム・ミンスン氏は「韓国ではデジタル資産を決済手段として使えるかどうかの制度整理が終わっていないうえ、AIエージェント決済の責任の所在を巡る議論も始まっていない」と指摘した。
チョ・ミヒョン記者 mwise@hankyung.com

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