概要
- UAEはOPEC脱退とあわせ、日量500万バレルまで原油生産量を拡大できると明らかにした。
- UAEの離脱でOPECの供給調整力が弱まり、中長期的に国際原油価格への下押し圧力が強まる可能性がある。
- 足元ではホルムズ海峡の封鎖を受け、ブレント先物価格が1バレル111.26ドルまで上昇するなど、緩やかな上昇基調が続いている。
期間別予測トレンドレポート


50年続いた「産油国カルテル」に亀裂
UAE、脱退前の生産量はOPEC4位
「日量500万バレルまで可能」
中長期的に下押し圧力

4月28日、アラブ首長国連邦(UAE)が石油輸出国機構(OPEC)から脱退すると決めたことで、国際原油の価格決定の構図そのものが揺らぐ可能性が出てきた。50年超にわたり世界の石油市場を主導してきたOPEC中心の国際カルテル体制に、大きな亀裂が入るためだ。UAEは、OPECと協調減産の枠組みであるOPECプラス(OPEC+)を5月1日付で離脱すると明らかにした。
UAEはOPEC加盟国で、サウジアラビア、イラクに次ぐ4位の産油国だ。国際エネルギー機関(IEA)によると、イラン戦争の勃発前のUAEの原油生産量は日量290万バレル前後で、OPEC全体の約12%を占めていた。IEAは、UAEについて日量500万バレルまで生産を引き上げる余地があるとみている。
これまで世界の原油市場の仕組みは比較的単純だった。サウジアラビア主導のOPECが供給を調整して原油価格の下限を支え、米国が消費や備蓄の規模を通じて世界需要を左右する構図だ。OPECは必要に応じて減産や増産に動き、市場に影響を及ぼしてきた。だが、UAEの離脱で、こうした供給調整の効果は大きく低下する。

ただでさえ揺らいでいたOPEC体制には、さらに打撃となる見通しだ。シェール革命で米国が世界最大の産油国となり、OPECの生産方針は以前ほど市場を動かせなくなっている。米国の増産能力が、OPECの減産効果を薄めているためだ。
もっとも、世界の原油価格は当面高水準を保つ公算が大きい。足元の相場は、UAEのOPEC離脱よりもホルムズ海峡の封鎖を強く織り込んでいる。今後の増産方針を示したUAEの離脱表明後も、6月渡しの北海ブレント先物の終値は4月28日、1バレル111.26ドルと前日比2.8%上昇した。
アゲイン・キャピタル(Again Capital)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「通常の状況なら、UAEの脱退は原油市場に下押し圧力として働き、相当な売りを誘っていたはずだ」と指摘した。そのうえで「ホルムズ海峡が事実上封鎖された状況では、供給が増えても行き場がない。当面の原油価格は緩やかな上昇基調を続ける」との見通しを示した。
ただ、UAEのOPEC離脱は市場に下押し圧力を与えざるを得ない。ホルムズ海峡が正常化すれば、産油国が一斉に増産競争に乗り出す可能性が高い。中長期的には、原油価格が1バレル60ドルを下回る可能性も取り沙汰されている。
UAEのシンクタンク、エミレーツ政策センターのエブテサム・アルケトビ所長は「UAEは市場安定に寄与する『調整生産者』として、自らの役割を再定義している」と述べた。さらに「これはOPECの結束力を徐々に弱める一方、世界の供給に直接影響を及ぼす中核プレーヤーとしてのUAEの地位を強める」と分析した。
キム・ジュワン記者 kjwan@hankyung.com

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