EU「DAC8」施行間近…2026年から仮想資産の税務報告義務化

欧州連合(EU)は仮想資産を既存の金融資産と同等の水準で税務管理する新たな規制体系を導入する。行政協力指令の改正案であるDAC8が2026年1月1日から施行されると、仮想資産取引所や仲介業者は利用者と取引情報を各国の税務当局に義務的に報告しなければならない。

25日（現地時間）Cryptopolitanの報道によれば、EUは24日、デジタル資産にのみ適用される新しい税務透明性規制が2026年1月1日から発効すると確認した。DAC8は加盟国間の税務行政協力の範囲を仮想資産と関連サービスへ拡大することが核心だ。

DAC8により、仮想資産取引所や仲介業者など関連サービスを提供する企業はすべての利用者の身元情報と取引履歴を収集して自国の税務当局に報告しなければならない。その後、各国の税務当局は当該情報をEU加盟国間で共有できるようになる。これにより国境を越える仮想資産取引に対する課税の追跡が可能になる。

EUは今回の措置が既存の税務体系で仮想資産の一部領域が除外されていた空白を解消することを目的としていると説明した。DAC8施行後、税務当局は銀行口座や株式と同様に仮想資産の保有・取引・移転履歴をより明確に把握できる見通しだ。

DAC8はEUの仮想資産規制体系であるMiCA（ミカ）と併せて適用される。MiCAが仮想資産事業者の認可、利用者保護、営業行為を規律する市場規制であるのに対し、DAC8は課税報告と執行に焦点を当てた制度だ。MiCAは2023年4月に承認された。

規制施行を前に仮想資産企業の準備負担も大きくなっている。関連業界によれば、仮想資産サービス提供事業者は2026年7月1日までに報告システム、内部統制手続き、顧客確認手続きを新基準に合わせて整備しなければならない。これを遵守しない場合は各加盟国の法令に従って制裁が科される可能性がある。

個人投資家への影響も少なくない。DAC8は脱税や租税回避の疑いが認められた場合、加盟国の税務当局間の協力を許可し、未納税と関連する仮想資産を凍結または差し押さえることができると規定した。該当資産が居住国以外に保管されていても適用対象となり得る。

DAC8の法的根拠は2023年5月16日にEU財務相理事会で承認された。この指令は仮想資産サービス提供事業者を既存の共通報告基準(CRS)体制に組み入れることを目標とし、経済協力開発機構(OECD)の仮想資産報告フレームワーク(CARF)を基に設計された。

報告義務は2026年の課税年度から適用されるが、個人投資家が初めて税務報告を提出しなければならない時点は2027年1月31日と予定されている。業界ではDAC8が施行されればEU内の仮想資産取引の透明性と課税執行力が大幅に強化されると見ている。