ビットコイン、大規模オプション満期を前に横ばい…イーサリアム・XRPも息を整える [イ・スヒョンのコインレーダー]

<イ・スヒョンのコインレーダー>は一週間の仮想資産(暗号資産)市場の流れを掬い、その背景を解説するコーナーです。単純な価格列挙を超えてグローバルな経済イシューと投資家の動きを立体的に分析し、市場の方向性を推し量るインサイトを提供します。

主要コイン

1. ビットコイン(BTC)

ビットコインは今週ずっと87,000ドル前後で上下し、典型的なボックス相場を形成しました。これはグローバルな需給の不均衡と大口オプション満期イベントが重なった結果とみられます。

市場ではアジアと西側の需給の衝突を主因と見ており、AMBクリプトの分析によれば最近のアジア・太平洋(APAC)の取引時間帯では安値での買いが流入し下落を防ぐ動きが出る一方、米国と欧州の時間帯では売りが優勢だったといいます。マクロ経済の不確実性の中で西側の投資家がリスク管理を重視し、『東の買い』と『西の売り』がせめぎ合う様相です。

本日到来した大規模オプション満期も変動性を抑えたと見られます。Deribit基準で約300,000 BTC規模のオプション満期を前に、市場価格が「Max Pain(最大痛み)」となる95,000ドルを下回る水準に抑えられた、との分析です。オプション売り手が利益最大化のためにヘッジ売りを放出し上昇力を制限したと考えられます。

ただし満期直後の26日午前、ビットコインは一時89,000ドル台を回復しました。QCPキャピタルは「満期後にヘッジポジションが解消され短期的な反発が出る傾向がある」とし、「年末まではファンダメンタルよりも需給要因で5~7%前後の上下が繰り返されるだろう」と予想しました。

今後の見通しは分かれています。ピーター・ブランドら悲観論者は58,000ドルまでの追加調整を警告しました。マイク・マクグローン(ブルームバーグ・インテリジェンス上級ストラテジスト)は極端なケースとして「10,000ドルまでを開いておく必要がある」と述べました。一方でシティグループやキャシー・ウッドら楽観派は機関資金の流入加速を根拠に強気相場が続くと見ています。

2. イーサリアム(ETH)

イーサリアムは2900ドル水準をかろうじて維持し、もたついた動きを続けています。独自のエコシステム成長よりも外部からの資本流入の有無が価格を決める主要な変数となってきました。

マトリックスポートは「最近のイーサリアム価格はナラティブよりもETFなど資金フローに敏感だ」と診断しています。実際、米国のイーサリアム現物ETFが7営業日連続で純流出を記録するなど需給悪化が価格上昇を阻んでいます。

機関投資家の動きも明暗が分かれます。ある企業は財務負担などを理由にイーサリアムを大量売却しました。イーサジラは23日に債務返済のため約74,500,000ドル規模のイーサリアムを売却しました。昨年10月(40,000,000ドル規模の売却)に続き連続で売却しており、市場ではイーサジラが「デジタル資産財務(DAT)戦略を完全に手放すのではないか」という見方も出ています。

一方で積極的に買い増す例もあります。コインテレグラフによればトレンドリサーチは最近一日でイーサリアムを約46,000枚追加購入しました。総保有量は約580,000枚に達します。LDキャピタル創業者のジャック・イは「イーサリアムの追加購入のために10億ドル規模の追加資金を準備中だ」と明かしました。この計画が実行されれば、トレンドリサーチはシャープリンクを抜いてETH保有で2位機関になる見込みです。

価格面では2880ドルが短期の主要防衛線と見られています。テッド・ピローズという仮想資産アナリストは「イーサリアムが今週末までに3000ドルを回復できなければ短期的に2800ドル台まで押し下げられる可能性がある」と予想しました。

3. エックスアールピー(XRP)

XRPは今週の主要コインの中でも特に力を発揮できませんでした。価格は狭いレンジで横ばいを続け、2ドル回復にも繰り返し失敗して投資家心理が萎縮している様子です。現在XRPはコインマーケットキャップ基準で約1.8ドルで取引されています。

市場では技術的に重要なサポートラインが崩れた後に売り不安が重なった点を最大の負担要因と見ています。ニュースBTCは「昨年11月から約13カ月間堅持してきた1.95ドル水準を割ったことで売りが連鎖的に出始め、これが下落の直接的な契機となった」と分析しました。

コインデスクも同様の診断を示し、「XRPは1.90ドル付近で再び強い売りが出現し短期サポートまで下抜け、その後は方向感を失い狭いレンジに閉じ込められている」と評価しました。

とくにレジスタンス付近で出来高が急増した点が目立ちます。1.906ドル付近で価格が抑えられた際の出来高は約75,300,000 XRPに達し、これは24時間平均出来高のほぼ2倍に相当します。価格が上がらない場面で出来高だけが膨らんだ点は、大口投資家が買いよりも売りに回っていたサインと解釈されます。

加えて大口の資金移動も確認され、クジラの売り懸念も強まりました。23日にRipple Labsが約65,000,000 XRP、金額で約121,000,000ドル相当を匿名ウォレットに移したことが確認されました。市場ではこれを売却準備の動きと見て投資心理がさらに冷え込みました。

ただし一部にはポジティブな兆候も出ています。クリプトクォントによれば26日時点でバイナンスに保管されているXRPの取引所残高は約2,660,000,000枚まで減少しました。これは昨年7月以降で最も低い水準であり、取引所残高の減少は直ちに市場に放出される可能性のある売り圧力が減っていることを意味し、反発の余地を残す要素と見られます。

XRP現物ETFの流れは依然として堅調です。ソソバリューによればXRP現物ETFは24日時点で28取引日連続の純流入を記録しており、累積純流入規模は約1,140,000,000ドルに達します。価格は抑えられているものの制度圏の資金は着実に流入していることになります。

短期的には1.87ドル水準が重要変数と見なされています。コインデスクはこの水準が単なる支持線ではなく方向性を決めるレベルに変わったと評価しました。該当価格帯を回復して維持できれば1.90～1.91ドル台までの反発が期待でき、逆に安定して確保できなければ1.86ドル台、さらに下では1.855ドル付近まで開くとの分析です。

イシュ―コイン

1. メディブロック(MED)

今週目立った動きを見せたコインはメディブロックです。メディブロックは23日にアップビットで一日で20%超の急騰を見せ市場の注目を集めました。

メディブロックは医療従事者と患者のためのブロックチェーンベースの診療情報管理プロジェクトで、患者の医療データを安全に保管しアクセス権を個人に戻す構造を目指しています。国内では俗に「キムチコイン」と分類される銘柄でもあります。

今回の上昇に明確なニュースは見当たりませんでした。ただし取引構造を見れば背景はある程度理解できます。メディブロックのグローバル取引量のうち約95%が国内取引所で発生しており、このような構造では特定の時点で国内の買いが集中すると価格が短期間で急騰するケースが起きます。

しかしこのような構造では急騰後のボラティリティも急速に拡大する点に注意が必要です。短期的には急騰後に価格がどのレンジで安定するかが重要であり、長期的には実際の医療機関導入拡大や実使用の増加といったファンダメンタルの変化が伴わない限り上昇の持続力には限界がある、という指摘もあります。